自動化
PR

AI Builderで請求書を自動読み取りしてExcelに登録する方法|Power AutomateのOCRフロー入門

sanane
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

はじめに

この記事では、AI Builder で請求書 PDF を自動読み取りし、抽出した金額・取引先・日付を Excel の台帳に1行追加する Power Automate フローの作り方を、画像付きで解説します。

請求書の内容を毎回手で Excel に転記するのは、地味で間違いが起きやすい作業かと思います。

これを AI Builder の事前構築済みモデルに任せれば、ファイルをアップロードするだけで OCR → 構造化 → 台帳登録 までを自動化できます。学習データの用意やモデルのトレーニングは不要です。

読み取り対象のサンプル請求書PDF(請求書番号・取引先・金額などが記載されている)

AI Builder はプレミアム(有償)機能です。利用には AI Builder クレジットが必要で、用意がないと実行時にエラーになります。本記事では、実際につまずいた 従量課金(Pay-as-you-go)でクレジットを用意する手順も「事前準備」で解説します。

このフローでできること

手動トリガーで請求書ファイルをアップロードすると、次の3ステップが自動で走ります。

フローの構成

手動トリガー(ファイル入力) → ② 請求書を処理する(AI Builder) → ③ 表に行を追加(Excel Online)

  • 請求書番号・取引先名・発行日・支払期日・小計・税額・合計金額を自動抽出
  • 抽出した値を Excel「請求書台帳」に1行追記
  • 事前構築済みモデルなのでトレーニング不要・すぐ使える

事前準備:AI Builderクレジットを用意する(従量課金)

最初にフローを実行したところ、「Copilot クレジットがない」旨のエラーで止まりました。AI Builder はプレミアム機能のため、まずクレジットを用意します。ここでは Azure サブスクリプションを使った従量課金(Pay-as-you-go) で設定した手順を紹介します。

Microsoft 365 管理センターで請求ポリシーを作成

Microsoft 365 管理センター の「請求と使用状況」→「請求ポリシーの追加」から、従量課金制ポリシーを作成します。Azure サブスクリプション・リソースグループ・地域・予算を指定します。

Microsoft 365管理センターで従量課金制の請求ポリシーを作成する画面
Power Platform管理センターで環境に紐づけ

Power Platform 管理センター の「ライセンス」→「請求プラン」を開き、作成した請求プランをフローを動かす環境に紐づけます。測定対象に Power Automate などが含まれていることを確認します。

Power Platform管理センターで請求プランを環境に紐づける画面

本記事は動作検証のため、 M365 Business StandardとCopilotの試用版を利用しています。試用版まわりや Copilot 関連でつまずいたときは、次の記事も参考になります。

あわせて読みたい
試用版Copilot Studioの利用方法【読み込み中で開けない時の対処法】
試用版Copilot Studioの利用方法【読み込み中で開けない時の対処法】

登録先のExcel台帳を用意する

抽出した値の受け皿として、OneDrive(または SharePoint)上に Excel ファイルを置き、テーブル化しておきます。ここでは invoice-ledger.xlsx にテーブル「請求書台帳」を用意しました。

  • 列:請求書番号 / 取引先名 / 発行日 / 支払期日 / 小計 / 税額 / 合計金額
  • ヘッダー行を選択して「テーブルとして書式設定」→ テーブル名を「請求書台帳」に

Excel は必ずテーブル化しておきます。ただのセル範囲だと、後の「表に行を追加」でテーブルとして認識されません。

フローを作る

インスタント クラウド フローを作成

Power Automate で「作成」→「インスタント クラウド フロー」を選び、トリガーに「フローを手動でトリガーする」を選択します。

インスタント クラウド フローを作成するダイアログ
手動トリガーを選択した直後のデザイナー
トリガーにファイル入力を追加

トリガーの「入力の追加」から 「ファイル」 を1つ追加します。これが請求書のアップロード口になります。

手動トリガーにファイル入力を追加した状態
AI Builder「請求書を処理する」を追加

「+」→ アクション検索で「請求書」や「AI Builder」と入力し、AI Builder の「請求書を処理する」を追加します(版により「請求書から情報を抽出する」と表示される場合もあります)。

アクション検索でAI Builderの請求書アクションを検索
請求書を処理するアクションを選択
請求書ファイルにファイルコンテンツを割り当て

アクションの「請求書ファイル」に、トリガーの動的コンテンツ「ファイル コンテンツ」を割り当てます。

請求書ファイルにトリガーのファイルコンテンツを割り当てた状態
Excel「表に行を追加」を追加して列をマッピング

「+」→ Excel Online (Business) の「表に行を追加」を追加。場所・ライブラリ・ファイル(/invoice-ledger.xlsx)・テーブル(請求書台帳)を指定します。

表に行を追加アクションを検索

各列に、AI Builder の抽出フィールドを割り当てます。請求書番号←請求書 ID、取引先名←ベンダー名、発行日←請求日、支払期日←期限、小計←小計、税額←税額計、合計金額←請求書の合計、のように対応させます。

Excelの各列にAI Builderの抽出フィールドをマッピング
保存

フローを保存します。これで「手動トリガー → 請求書を処理 → Excel に追記」の3アクションが完成です。

請求書OCRフローの全体図(保存完了)

テストして結果を確認する

右上の「テスト」→「手動」を選び、テスト実行を開始します。

テストを手動で実行する選択画面

実行ダイアログで、用意した請求書 PDF をアップロードして「フローの実行」を押します。

テスト実行で請求書ファイルをアップロード
フローの実行が正常に開始された通知

各アクションに緑のチェックが付き、フローが正常に完了しました。請求書の処理(OCR+抽出)に十数秒かかります。

3アクションすべてが成功した実行結果

Excel の「請求書台帳」を開くと、抽出された請求書番号・取引先名・日付・金額が1行追加されています。

Excelの請求書台帳に抽出結果が1行追加された状態
SANANE
SANANE

手入力ゼロで台帳が埋まると気持ちいいですね。ここまでで「OCR → 台帳登録」の王道は完成です。あとは実運用に向けた微調整だけ。

つまずきやすいポイント

  • クレジット不足で実行できない:AI Builder はプレミアム機能。前述の従量課金、または試用版でクレジットを用意する。
  • 金額・日付が文字列で入る:抽出値は 小計(テキスト) のように文字列で返ることがある。Excel で数値・日付として集計したい場合は関数や型変換が必要。
  • Excelがテーブルとして認識されない:登録先は必ずテーブル化しておく。
  • 取引先名に自社が入ることがある(補足):「ベンダー名」は請求書の発行元を返すため、自社が発行した請求書を台帳化すると取引先名に自社名が入る。受領した請求書ならベンダー名でOK、自社発行分を記録するなら「顧客名」フィールドを割り当てるなど、用途に合わせて調整する。

もっと発展させたいとき

AI Builder の抽出結果には信頼度スコアが付きます。実運用では「合計金額の信頼度が低い場合は承認に回す」といった条件分岐を入れると、誤読のまま台帳に入るのを防げます。

また、請求書を PDF 化して保管・連携するフローと組み合わせると、ドキュメント処理の自動化がさらに広がります。

あわせて読みたい
【Power Automate】Box上のファイルを自動的にPDF化するフロー
【Power Automate】Box上のファイルを自動的にPDF化するフロー

まとめ

  • AI Builder の事前構築モデル「請求書処理」なら、トレーニング不要で請求書を自動読み取りできる
  • フローは 手動トリガー → 請求書を処理 → 表に行を追加 の3アクションだけ
  • 利用には AI Builder クレジット(従量課金 or 試用版) が必要。抽出フィールドの割り当ては用途に合わせて調整する

請求書の転記は、AI Builder に任せれば数十秒で台帳化できます。まずは事前構築モデルで「OCR → 台帳登録」の型を作り、慣れてきたら信頼度スコアでの承認分岐や、ほかのドキュメント処理へと広げてみてください。

記事URLをコピーしました