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Power Automateで多段階承認フローを作る方法|SharePointリストで課長→部長の金額分岐【2026年版】

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はじめに

このページでは、Power Automateで多段階の承認フローを作る方法を、稟議申請を例に画像付きで解説します。前回の記事では Microsoft Forms と承認テンプレートで「1段階の承認フロー」を作りましたが、今回はその発展編です。

今回作るのは、SharePointリストに申請が登録されると、まず課長が承認し、金額が大きいときだけ続けて部長が承認する——という「多段階+金額分岐」の承認フローです。実際の稟議に近い、実務でそのまま使える構成を目指します。

SANANE
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前回の承認フローが作れた方なら、無理なくステップアップできます。「金額で承認ルートを変える」のがこの記事のキモです!

まだ承認フローを作ったことがない方は、先に下の記事でテンプレートを使った基本形を作っておくとスムーズです。

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この記事で作れるもの
  • 申請内容を受け取るSharePointリスト(申請リスト)
  • 申請が登録されるとまず課長へ承認依頼を自動送信
  • 金額が10万円を超えるときだけ、続けて部長へ承認依頼
  • 承認・却下に応じてステータス更新と申請者への通知メールを自動実行

本記事は新しいフローデザイナー(v3)の画面で解説します。Power Automateの画面は時期によって細部が変わるため、ボタンの位置や名称が異なる場合は読み替えてください。

フローの全体像

作り始める前に、これから組み立てるフローの流れを確認しておきます。処理の順番は次のとおりです。

  1. SharePointリストに申請が登録される(トリガー)
  2. ステータスを「課長承認待ち」に更新する
  3. ① 課長へ承認依頼を送る
  4. 条件A:課長が承認した? いいえ → 却下処理して終了
  5. 条件B:金額が10万円を超える? いいえ → 承認確定して終了
  6. 10万円超なら② 部長へ承認依頼を送る
  7. 条件C:部長が承認した? はい → 承認確定/いいえ → 却下処理

ポイントは、1段目(課長)は全件通し、金額で2段目(部長)を出し分ける直列構成にすることです。「金額が低ければ部長承認をスキップ」という実務要件を、そのまま表現できます。完成すると、次のような入れ子のフローになります。

多段階承認フローの全体像。課長承認→金額分岐→部長承認と各処理が入れ子になっている

STEP1:申請を受けるSharePointリストを作る

フローの前に、申請データを受け取るリストを作ります。ここの列設計が甘いと、後でフローの動的なコンテンツが拾えません。実はこのリスト作りが一番重要です。

SharePointのコミュニケーションサイトを開き、[サイト コンテンツ] → [新規] → [リスト]を選びます。

SharePointのサイトコンテンツから新規のリストを選択する画面
空白のリストを作成

「開始する方法」のダイアログで、何もないところから作る[リスト]を選びます。

開始する方法のダイアログで空白のリストを選択
リスト名を入力

リスト名に「申請リスト」と入力して作成します(名前は分かりやすいものなら何でも構いません)。

リスト名に申請リストと入力して作成する画面
列を追加する

[+ 列の追加]から列を足していきます。例えば金額列なら、種類で[数値]を選んで[次へ]に進みます。

列の追加で種類に数値を選んで次へ進む画面
金額列の作成画面。番号シンボルに通貨を指定して保存
ステータス列を選択肢で作る

ステータス列は種類を[選択肢]にし、「申請中/課長承認待ち/部長承認待ち/承認済み/却下」を登録します。この列が稟議らしさの肝で、申請者が一覧で進捗を追えるようになります。

ステータス列を選択肢で作成し、申請中・課長承認待ち・部長承認待ち・承認済み・却下を登録

同じ要領で、次の列を用意します。既定の「タイトル」列は「申請名」にリネームして申請件名に使います。

申請リストの列構成
  • 申請名(タイトルをリネーム / 1行テキスト):申請の件名
  • 金額(数値):承認ルートを分ける判定キー
  • 申請理由(複数行テキスト):承認者への説明
  • 申請者(ユーザー or 既定の「作成者」):通知先
  • ステータス(選択肢):進捗の表示
  • 課長コメント/部長コメント(複数行テキスト):承認の証跡
金額・申請理由・申請者・ステータス・課長コメント・部長コメントの列が揃った申請リスト
タイトル列を申請名にリネームした後の申請リストの表示

SharePointの「作成者」列を申請者として使えば、申請者ユーザー列は省略できます。動的承認者(後述の案B)を使わないなら、まずはシンプルに作成者を申請者として扱うのが手軽です。

STEP2:トリガーと初期ステータスを設定する

Power Automateで[自動化したクラウドフロー]を新規作成します(フロー名は「申請フロー」などにしておきます)。

トリガーを指定

トリガーに SharePoint の[項目が作成されたとき]を選び、サイトのアドレスリスト名(申請リスト)を指定します。

トリガー項目が作成されたときにサイトのアドレスとリスト名(申請リスト)を指定
項目の更新を追加

続けて SharePoint の[項目の更新]を追加します。IDには、トリガーの動的なコンテンツ[ID]を指定します(これで「いま作成された申請」を対象に更新できます)。

項目の更新のID欄にトリガーの動的なコンテンツIDを割り当てる
ステータスを更新

同じアクションで、ステータスの値を「課長承認待ち」に設定します。これで申請が登録された瞬間に、リスト上の進捗が動き始めます。

項目の更新でステータスValueを課長承認待ちに設定

SharePointの[項目の更新]は、更新したい列以外も値が必要になる場合があります。意図しない列が空で上書きされていないか、検証時に必ず確認してください。

STEP3:① 課長承認を設定する

承認の本体となる[開始して承認を待機]アクションを追加します。承認の種類は「承認/拒否 – 最初に応答」を選びます(1人が応答すれば確定する基本のパターンになります)。

課長承認アクションの設定
  • 承認の種類:承認/拒否 – 最初に応答
  • タイトル(例):「申請:」+トリガーの[申請名(タイトル)](承認依頼メールの件名になります)
  • 担当者:課長のメールアドレス
  • 詳細:申請者・金額・申請理由などを動的なコンテンツで差し込み
  • アイテムリンク:SharePointの項目URLを入れると、承認者がリストに飛べます
課長承認アクションのパラメータ設定。承認の種類・タイトル・担当者・詳細・アイテムリンクを指定

設定し終えたら、アクション名を「課長承認」にリネームしておきます。多段階のフローでは、後で「課長承認」「部長承認」の結果を取り違えないために、リネームが必須級のコツです。

承認者を固定で指定せず、Office 365 Users「マネージャーの取得 (V2)」で申請者の上長を自動取得すれば、組織変更に強い動的な承認者にできます。まずは固定メールで動かし、慣れたらこの応用に挑戦するのがおすすめです。

STEP4:条件A 課長の判定を作る

課長が「承認」したか「却下」したかで処理を分けます。[アクションを追加]から、コントロールの[条件]を追加します。

アクションを追加でコントロールの条件を検索して選択

条件は次のように設定し、アクション名を「課長の判定」にリネームします。

  • 左辺:課長承認アクションの[結果](Outcome)
  • 演算子:次の値に等しい
  • 右辺Approve
条件Aで結果が次の値に等しいApproveを設定、True/Falseに分岐

[はい(True)]側に以降の処理を組み立て、[いいえ(False)]側には却下処理(後述)を入れます。

承認/拒否型の[結果]は、「Approve」/「Reject」という英語の値を返します。「Approved」と末尾に「d」を付けると一致せず、承認しても却下側に流れてしまいます。日本語UIでも値は英語想定ですが、念のため検証で実際の値を確認してください。

STEP5:条件B 金額で分岐させる

課長の判定の[はい(True)]の中に、もう一つ[条件]を追加します。これが「部長承認まで回すかどうか」を金額で決める分岐です。

課長の判定のTrue側にさらに条件アクションを追加する

条件を次のように設定し、アクション名を「金額分岐」にリネームします。左辺にはトリガーの動的なコンテンツ[金額]を選びます。

  • 左辺:トリガーの[金額]
  • 演算子:より大きい
  • 右辺100000
金額分岐の左辺に動的なコンテンツの金額を選択する
金額分岐で金額がより大きい100000を設定、True/Falseに分岐

これで、[いいえ(False)]=10万円以下は課長承認だけで確定[はい(True)]=10万円超は部長承認へ進む、という出し分けができます。

今回は「より大きい」のため、10万円ちょうどは部長承認に回りません。「10万円以上を部長承認」にしたい場合は演算子を「次の値以上」に変えてください。また、SharePointの数値列は文字列として返ることがあり、比較が空振りする定番ポイントです。うまく分岐しないときは int() 関数で明示的に数値変換します。

STEP6:② 部長承認と条件Cを作る

金額分岐の[はい(True)](=10万円超)の中に、部長承認のルートを組み立てます。

部長承認待ちに更新

まず SharePoint の[項目の更新]で、ステータスを「部長承認待ち」に変えます。

金額分岐のTrue側で項目の更新によりステータスを部長承認待ちにする
部長承認を追加

[開始して承認を待機]をもう一つ追加します。種類は同じく「承認/拒否 – 最初に応答」、担当者は部長のメールにし、アクション名を「部長承認」にリネームします。

部長承認アクションのパラメータ設定
条件Cで判定

その下に[条件]を追加し(アクション名「部長の判定」)、左辺に部長承認の[結果]を選びます。動的なコンテンツの一覧から、部長承認の下に出てくる[結果]を選ぶのがポイントです。

条件Cで部長承認の結果を動的なコンテンツから選択する
条件Cで部長承認の結果が等しいApproveを設定、True/Falseに分岐

アクションをリネームしていないと、動的なコンテンツに「結果」が複数並んで、課長と部長のどちらの結果か見分けがつかなくなります。「課長承認」「部長承認」へのリネームは必ず行ってください。

STEP7:承認確定・却下処理を作る

最後に、各ルートの終端でステータス更新と申請者への通知を行います。承認が確定するルートは2か所(金額分岐のいいえ=課長のみ承認/部長の判定のはい)あります。

承認確定処理

SharePoint の[項目の更新]でステータスを「承認済み」にし、コメント列に承認アクションのコメント(comments)を記録します。

項目の更新でステータスValueを承認済みに設定

続けて Outlook の[メールの送信 (V2)]で、申請者へ結果を通知します。宛先はトリガーの[作成者 Email]、件名・本文には申請名を差し込み、「○○ が承認されました」と伝えます。

承認時のメールの送信V2。件名と本文に申請名を差し込み承認されましたと通知

同じ承認確定処理を、金額分岐のいいえ側(10万円以下で課長のみ承認したルート)にも用意します。

金額分岐のFalse側の承認確定処理と承認メール送信

却下処理

却下のルートでは、ステータスを「却下」に更新し、申請者へ却下を通知します。

却下ルートで項目の更新によりステータスValueを却下に設定
却下時のメールの送信V2。件名と本文に申請名を差し込み却下されましたと通知

却下メールの本文に承認者のコメントを載せると、申請者が理由を把握しやすくなります。コメント列の動的なコンテンツを差し込んでおきましょう。

却下メールにコメントを動的なコンテンツで差し込む

却下処理は課長段・部長段の2か所で発生します。同じ処理を何度も書くのが面倒なら、却下処理だけを「子フロー」に切り出して呼び出す方法もあります。まずは素直に各ルートへ置き、慣れてきたら整理するのがおすすめです。

STEP8:動作を確認する

フローを保存したら、実際に申請を1件登録して動かしてみます。申請リストに[新しいアイテムを追加]し、申請名・金額・申請理由などを入力します。

テスト用に申請リストへ会議室用ホワイトボード購入申請を登録する

登録すると、承認者(課長)の Outlook に承認カードが届きます。申請内容と[承認]/[拒否]ボタン、リストへのリンクが表示されます。ボタンを押すと、フローが続きの処理(金額分岐や部長承認)へ進みます。

承認者のOutlookに届いた承認カード。申請内容と承認・拒否ボタン、項目リンクが表示されている

承認・却下を行うたびに、申請リストのステータスが「課長承認待ち → 部長承認待ち → 承認済み」のように切り替わることを確認しましょう。申請者にも通知メールが届けば成功です。

つまずきやすいポイント

多段階の承認フローでは、次の点でつまずきやすいです。検証時にあわせて確認してください。

Q
承認したのに却下メールが届く

条件の値を確認してください。「Approved」ではなく「Approve」が正しい値です。末尾の「d」が付いていると条件が一致せず、承認しても却下(False)側に流れます。

Q
金額分岐が思ったとおりに動かない

SharePointの数値列は文字列として返ることがあり、比較が空振りする定番ポイントです。うまくいかないときは int(トリガーの金額) のように明示的に数値変換してから比較してください。境界値の扱い(「より大きい」か「次の値以上」か)も合わせて確認します。

Q
コメントを記録すると For each が自動で増える

承認のコメントは、単一承認者でも配列(応答の一覧)で返ります。そのため、新しいデザイナーでコメントを参照するとApply to each(For each)が自動で追加されます。これは正常な挙動なので、そのまま中で項目の更新やメール送信を行えば問題ありません。必要に応じて、入れ子の中の構造を修正する必要があります。

新しいデザイナーでコメントを参照するとFor eachが自動生成されたフロー全体像
Q
課長と部長の結果を取り違える

承認アクションをリネームしていないと、動的なコンテンツに「結果」が複数並んで見分けがつきません。各承認アクションを「課長承認」「部長承認」にリネームしておけば、条件で選ぶ結果を取り違えずに済みます。

まとめ

SharePointリストと条件分岐を組み合わせれば、Power Automateで実務的な多段階承認フローが作れます。手順をおさらいすると次のとおりです。

  • STEP1:申請を受けるSharePointリストを作る(列設計が最重要)
  • STEP2〜3:トリガー+初期ステータス更新、① 課長承認
  • STEP4〜5:条件Aで課長判定 → 条件Bで金額分岐
  • STEP6:10万円超なら ② 部長承認+条件Cで判定
  • STEP7〜8:承認確定・却下処理を作り、動作を確認

「1段目は全件、金額で2段目を出し分ける」という型を覚えておけば、課長→部長に限らず、担当→マネージャー→役員のような承認にも応用できます。承認者の動的取得(マネージャーの取得)や却下処理の子フロー化まで進めば、より実務に強いフローになります。

まだ基本の承認フローを作っていない方は、まず下の記事から始めてみてください。

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